“はんこは使われている素材によって、お手入れや保存の仕方が異なります。素材が象牙の場合、乾燥による劣化の心配はありませんが、気温の変化には注意が必要です。極端に暑い場所や寒い場所で保管をすると、素材がダメージを負ってしまうこともあるので可能な限り常温での保存が望ましいといえます。汚れに関してはさほど気にすることはなく、市販の歯磨き粉などで綺麗にして洗浄後にしっかりと布で水分を取り除くだけで問題はありません。
牛角の素材を使っている場合、乾燥に注意を払うことが大切です。空気が乾燥している場所で保存をしてしまったことでひび割れを起こしてしまったというケースも少なくありません。そのため、特に冬場などは暖房器具を使用している付近から離しておくことが重要です。牛角のお手入れは、天然のオリーブオイルなどを使って布で拭き取る方法がおすすめになります。
黒水牛も、牛角と同様に乾燥は大敵です。こちらは朱肉と相性が良いことから、好んで使用している人が多いのも特徴です。しかし使いやすい反面、保存状態には気をつけなくてはいけません。虫の中には水牛の角を好んで食す種類の物もいるので、使用後はしっかりとケースに収納して乾燥していない場所を選んで保存することが大切になります。お手入れの方法は、牛角と同様に天然のオイルと布による洗浄が好ましいです。
拓の素材は朱肉による油分の影響で、長期間の使用で枠が壊れやすくなることもあります。そのため、常時印を清潔にしておくのがポイントです。
使用後に印に付着した朱肉を拭き取ることは、全ての印鑑に共通しているお手入れ方法になります。朱肉の成分は、時間が経つと乾燥して固まってしまうので、その状態で使用を続けていると印の目詰まりを引き起こしてしまいます。この目詰まりによって、印を押した時に正しい捺印がされなくなるというケースも考えられるのです。こういったケースを避けるためにも、面倒だと思わずに使用後にティッシュで綺麗に拭きとって、定期的に歯ブラシなどで印面を綺麗に洗浄することを忘れてはいけません。そのほかにも、朱肉は軽く付ける程度にして捺印の時にしっかりと力を込めるようにすると目詰まり防止に役立ちます。
今回説明をした印鑑は天然の素材を用いた特殊な物ですが、市販されている物でも同様のことが言えます。印鑑は実印や認印など日常的に使用する物からたまにしか使用しない物まで多くの種類がありますが、どういったものでも常にケースに入れて大切に保管をしておくことが長持ちの秘訣です。
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