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私達の生活に身近なはんこ。その歴史は?

私達が日常生活で必要な手続きをする際に、必ずと言っていいほど必要となる、はんこ。今回は、その歴史に注目してみました。
まず、はんこと印鑑の違いを説明します。現在では両者とも同じものとして扱われることも多いですが、厳密には違います。まず、はんこは、楕円形の細長い押すための物のことを指し、印鑑は、押した後紙などに残る、いわゆる印影と同じものです。ですが、ここでは分けて使うのは大変なので、2つともを合わせて印章という言葉を使うことにします。
印章は、今から5000年以上前にメソポタミアで使用されたのが起源だとされています。また、印章の制度の始まりは西洋で、「旧約聖書」にも印章を使用した記述が40箇所ほど残っています。東はシルクロードを通って中国を経て日本へ、西はエジプト、ギリシア、ローマを通って西欧へ伝わりました。ですが、現在でも印章を使う習慣が残っているのは日本だけで、西欧などでは全くその習慣は残っていません。
日本で初めて使われた印章に関する確実な資料は残っていませんが、1784年に現在の福岡県志賀島で発見された、『漢委奴国王』と記された金印が最初だとされています。当時、印章を持てたのは国や地域を治める有権者しか持てないものでした。また、この金印は純度95%の金で出来ていて、当時は印章が富と権力の象徴であったことがよく分かるでしょう。
その後、日本で印章が用いられはじめたのは、奈良時代初めに律令制度が整えられた頃からです。この頃は私用の印章は作ることが出来ませんでした。しかし、平安時代に入ると、高貴な貴族は私用の印章を持つことを許されるようになりました。しかしその後、平安末期まで印章はあまり使われない時期が続きました。この頃は、印章の代わりに花押が使われていたようです。ですが、戦国時代になると、戦国武将達が自分の威厳を示すために花印などを使うようになり、印章文化は再来しました。その後、江戸時代に入ると、行政機関の制度が整えられ、商業の発展による帳簿制の普及により、印章は一般市民にも使われるものとなりました。そして明治時代になると、印鑑登録の制度が制定され、10月1日から実施されました。そのため、現在でも10月1日は印章の日とされています。明治時代には、日本も欧米の習慣を見習って、自署(サイン)の制度を普及させようとさせたものの、結局失敗に終わり、日本では印章文化が根強く残ることになったようです。

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