日本の社会で暮らしていくにあたって、切っても切れないのが「はんこ」との縁です。子供時代には、それほど必要な場面に遭遇しなかった方も、年齢が上がるにつれて使用する機会も増えていきます。そして「実印」が必要なケースもでてきます。
この実印ですが、これは自分が住んでいる市区町村の役所に届け出をした印鑑のことです。実印を押さなければならないケースというのは、たとえば家を購入したり、公正証書などを作成するときのような大きな出来事に際してということがほとんどです。三文判でしたらいろんな店でかんたんに入手できるため、もし、そのようなはんこでも契約が成立してしまうとなると、同じ名が彫られた三文判を押してしまえば、なりすましも可能になってしまいます。しかし、そのような事態が起こってしまうと大変なので、役所に「これが自分の印鑑である」と登録したものが実印となり、それ以外の印では認められなくなるのです。ですから、かんたんに手に入るようなものでは意味が無いため、固有の特徴のあるものを作って実印として登録する必要があるのです。
登録できるものには決まりがあり、いくつかの条件を満たしていなければなりません。まず大きさの制限ですが、その一辺が25ミリメートルの正方形に収まらなければならず、同時に8ミリメートルの正方形の中に収まってはいけないことになっています。素材や造りについては、ゴム製などの変形しやすいものだったり、外枠がないものは受け付けられません。また、欠けが目立っているような状態のものも登録できないことになっています。
印鑑に彫られている表記についてですが、住民基本台帳に記載されている「フルネーム」か「苗字のみ」、もしくは「ファーストネームのみ」であればよいことになっています。男性でしたらどれを選んでも差し支えありませんが、女性の場合、結婚すると苗字が変わってしまうことが多いです。結婚して苗字が変わり、住民基本台帳の記載に変更が起こると、実印に旧姓が彫られていた場合は、当然、登録しなおさなければならなくなります。
そのような理由で、女性が新しく実印として登録するためにはんこを作る場合には、ファーストネームで作ってしまえば、それをずっと使い続けることが可能なわけです。
しかし、フルネームで作ることにこだわりがある方や、仕事で使用することが多いなど、ファーストネームだけよりもフルネームの方が望ましい場合は、既婚・未婚にかかわらず、もちろんフルネームで作る選択をしても大丈夫です。
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